2024. 10. 3
雪山烏龍ができるまで
当園では緑茶のみではなく、紅茶・烏龍茶・ほうじ茶・抹茶などすべて栽培加工、製品化まで行っております。今日は昨年から販売開始した烏龍茶、『雪山烏龍』について書いてみようと思います。
まず、烏龍茶がどのように作られているかご存知ですか?
わたしはここに来るまで烏龍茶は別の木からできるもので、加工方法についても全く想像が出来ていませんでした。
皆さんよく驚かれるのですが、緑茶も烏龍茶も紅茶も、同じ茶の木から栽培加工されています。
品種による向き不向きはあるので、その選定を行うところから始め、茶の木を植えて幼木の管理を約5年行い、ようやく茶を摘むことが出来るようになります。
当園では現在、こうしゅん、さやまかおり、やぶきたの3種類の烏龍茶を栽培加工販売しておりますが、
この3品種への絞り込みについても何十回もの加工と試飲を繰り返し、ようやく辿り着いたものです。
近年烏龍茶人気が高まっていますが、まだまだ国内での生産量は非常に低いのが現状です。
その為、情報を仕入れることから始め、園主が台湾・中国を訪れ現地の茶摘や加工を体験し、八女の土地に合った製法に応用して作り始めました。
動画サイトに上がっている情報を頼りに手つきを真似したり、中国語の本を翻訳してみたり、
どうすればより良い仕上がりになるのか探しています。
烏龍茶の加工方法は、台湾式や中国式など生産者によっても様々ですが
当園では、
①茶葉の摘採→②日干→③萎凋→④揺青→⑤殺青→⑥揉捻→⑦乾燥
このような製法を取り入れています。
1.茶葉は機械で摘みます
2.その日の天候を見ながら、日に当てて少しずつ水分を抜いていく作業
ここでも既に香りが変化し始めます
3.茶葉の状態をみながら、更に水分を抜いていきます
室温にも注意を払います
4.茶葉を揺らして、香りをさらに引き出す
優しすぎても香りを出してくれないし、強すぎても葉が傷みそこから嫌な香りが出てしまう為、非常に難しい工程です
成功した時には完熟の梅、爽やかな青リンゴ、ミルクのような香りなど
同じ葉っぱからどうしてこんな香りがするのだろうとうっとりした気持ちに包まれます
これだから烏龍茶作りはやめられない、、、
5.火入れを行い、茶葉の酸化発酵を止めます。
7.茶葉をほぐしたら、最後の乾燥工程です
じっくりと乾燥していき、烏龍茶の荒茶が完成です!
※ここから更に火入を行なったり、選別などの調整作業があります
烏龍茶作りは非常に繊細で、
日中に摘み採った茶葉に傷を付けないように、香りと茶葉の萎れ具合をみながら、
どこで次の工程へ進むのか、五感を頼りに判断を行っています。
どの工程も気が抜けませんが、香りをどのように引き出して火入れをどこで行うか判断することが一番難しいと感じています。
烏龍茶の本場中国や台湾では、各工程にそれぞれの職人が居るほどとのことで烏龍茶作りの難しさと奥深さがうかがえます。
茶摘み時期の作業は日中は外作業、茶葉を摘んだら工場へ運び夜中までの作業が連日続くため、正直体力的にも精神的にもかなりきついです。
それなのに作り上げたお茶をいざ試飲してみると、思うような出来ではないことも多く(いまのところは、、)
そんな時は、もう、何で?!どうして?!!!涙涙、、とみんなで肩を落とすこともしばしばです。
もちろん現在販売中のお茶は、試飲を重ねて自分たちが納得のいく厳選した、自信のあるものだけを出していますが、
まだまだそんな状況ですので、どうすればより美味しく、そして安定して作られるのかということを日々考えて、改良に改良を重ね加工に挑戦しています。
どうしてこんなにも心惹かれるのかといえば、本当においしい烏龍茶飲んだときの感動が忘れられないからです。
お茶を淹れ始めた時から上る香り、口にするとぶわーっと口と鼻全体が良い香りに包まれて、どこか違う地に来てしまったかのような不思議な体験です。飲み終えた茶杯の残り香をスンスンといつまでも体に取り込みたくなるほどです。
なんといっても加工中に漂う素敵な香りを皆さまにもどうにかお伝えしたく、その香りや味わいがなんとかお茶に残せるよう努力しています。
毎年思うことですが、
加工日や加工の違いでこんなにも違いがあるんだろう
何でだろう、不思議だ、面白いな〜
見た目は葉っぱなのに。とふと考えます。
その葉っぱが持つ個性を最大限引き出すことが、私たちの目指す雪山烏龍です。
烏龍茶に加工することで、山のお茶が無くならないように
これまでお茶への関心がなかった方にも届くように
そんな思いがありますが、
根っこにはお茶を作っている私たちが一番、山のお茶の持つ力みたいなものに
魅了されているんだろうなと思います。
可能性は無限にあり、恐らく正解もないと思います。
1枚の葉っぱからお茶になるまで、
その奥深さを皆さまと共有でき、今日はお茶飲んでみよう、に繋がると嬉しい限りです。
これからも私たちの挑戦は続きます。