2020. 10. 26

千代乃園のお茶作り 肥料について

無農薬栽培 八女茶
秋の剪定作業が完了しました!
これから茶の木たちは、春先までの間、長い冬休みに入ります。
園主といえば茶の木が眠っている間にイノシシに荒らされた茶畑、災害で傷んだ茶畑やそこに通じる道路等の修復それから、茶園周りの大きくなって日光を遮る木を切ったりなどオフシーズンにしかできない仕事が続きます。
そして年が明け2月に入ったらまた茶の樹のお目座となる春の肥料散布作業から始まり春の剪定等々、5月の新茶シーズンに備えます。


さて今回は千代乃園が茶園に施す肥料についてのお話です。
※肥料の働きについて・・ 肥料に含まれる主に3つの成分が植物の生育に重要な働きをします。
まず1つめ「窒素成分」は葉や茎の生育を促し葉緑素の骨格を作り、窒素成分が多いほどお茶の旨みが増えます。2つめにリン酸成分は細胞分裂を促し、根の伸長に貢献します。そして3つめのカリ成分は細胞液の浸透圧の維持や炭水化物代謝などに働き、我が家の様な標高の高い地域などの寒冷地において茶の樹のストレスを軽減させる働きがあるとも言われています。

※なぜ肥料を施す必要があるのか・・ 一言でいえば農産物は収穫を目的としているからです。
つまりその土地で育った農産物を収穫し持ち去るという栄養成分の引き算を行います。毎年同じように収穫を続けるには、持ち去ってしまった成分を土地に返す必要があります。先人の言葉で言うと「お礼肥え」という観念です。実際、施肥量を極端に減らせばお茶の新芽はわずかしか伸びてくれません。茶の木自身がやっと生きていくためだけの成長しかできなくなるため、収穫量は少なくなります。

※どんな肥料を散布しているのか・・ 千代乃園の茶畑では有機認証機関JONAが認める植物性有機肥料を散布しています。
茶の木が自力で育つ自然条件を想像した時、またお茶本来の味を楽しむためにどれほどの化学肥料や動物性肥料が必要なのか?それまでの山の茶栽培の経験を通し、自問自答を繰り返し、私たち自身が茶本来の味と香りを楽しみたいという思いにたどり着き、植物性有機肥料のみを施すことを選択し現在に至っています。

こちらは2008年の肥料散布の時の写真です。
今でも1回に総量12トンの肥料を全てショベルに一杯ずつ散布機に移し散布しています。これを全ての茶畑へ春と秋に最低2回行います。上級煎茶を収穫したい茶園には3~4回散布します。若いときは気合で、年を重ねた今でもただひたすらに肥料をすくっては散布するしか打つ手がないようですが、園主もそろそろ還暦・・・次の一手を考える時期にきているようです。毎年一人で延々とショベル一杯ずつ掬った肥料で育った我が家のお茶。肥料成分に満ち満ちたお茶ではありませんが、自然の力を活かしたお茶作りを目指して頑張っています。


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